追求

 何の意味も無い涙が、僕の頬を伝いました。腫れ上がって熱を帯びた頬っぺたを冷やせる訳でもなく、ましてやヒートアップしているをクールダウンさせられる訳でもない、ホントに無駄な水分でした。

 僕の頬っぺたがパンパンだろうが、口の中が切れて上手くしゃべれないみたいだろうが、そんなコトは全部ガン無視で、はバカに代わって僕に弁明を強要する視線を飛ばしてきました。

 「どうしたのっ!? 説明出来ないの、ともゆきっ!?」

 『あの』タチの悪い『輩』にでも教わったらしく、全身全霊で『強要する』と言うより、モロに僕を『威嚇する』視線でした。

 「ナントカ言いなさいっ!」

 そんなの視線と威嚇に困惑して、また無駄な水分を『ツツ~ぅ』っと涙腺からこぼしていると、珍しくが助け舟を出してきました。


 「こんなに腫れちゃってたら、しゃべり辛いよねぇ~?」

 バカがゲ〇のカスがくっついた人差し指で、僕の頬っぺたを突っつきました。痛さと気持ち悪さで思わず頭をのけ反らせた僕は、また後頭部を『ガンッ!』と洗面台にぶっつけてしまいました。

 「『リッちゃん』、何で、いきなり、ともゆきを叩いたのぉ~?」

 『僕に往復ビンタをした理由』なんて、そんなコトは聞くまでもなく、が僕ととの『近親相姦』に気が付いたからに他ならないと、激痛が走る頭の中で思いました。

 「裸でアンタたちが、変なコトやってたからでしょうが!?」

 「『裸でゲロ』が~?」

 「『裸でゲロ』は別にいいのよっ! そもそも、何で、アンタたち素っ裸になってんのっ!?」

 「アタシは~、『鍋焼き』食べて~、何か汗が出てきちゃったから~。」

 そう言ってバカは洗濯カゴを指差しました。僕の汚れ物の上に、しんなりとしたのキャミとパンティーが乗っかっていました。

 「あ~っ、もおっ、あんな熱いモン食べたら、当たり前でしょお? でっ!? ともゆきはっ? 何でなのっ!?」

 またしても僕は精神的に追い込まれて、あの『白い空間』に追いやられるか、失神するかの『崖っぷち』でした。でも後頭部と頬っぺたの激痛が、僕を現実世界に押し止めて逃がしませんでした。

 僕は痛さで閉じられない口の端っこから、鉄の味が濃いヨダレをダダ漏れさせていました。そんな僕を見兼ねて、が代わって答えてくれました。

 「『朝練で汚れちゃったから』よね~?」

 「んんっ!? じゃあ、何? アンタは『鍋焼きうどん』食べて汗だくになって、脱いで気持ち悪くなったの? だけど何で、そこに素っ裸のともゆきが居るのよっ!?」

 「ともゆきが先に裸になってるところに、アタシが入ったんだよ。」

 「う~~~ん、ああ…、そうか。でも、この子、ここで何だか怪しい動きしてたわよっ!?」



 そこは全然、ちっとも怪しく無いです。ただ単に『もらいゲロ』を我慢してただけですから。



 「ともゆきも、アタシに釣られてゲロしてたんじゃないの?」

 「えっ? ともゆき、アンタもゲロしてたの?」

 「ともゆきに、アタシ、ゲロ引っ掛けちゃったから~。」

 「汚いわね~。ゲロ掛けられて『もらいゲロ』なんて。」

 「しょうがないじゃん。ゲロ吐きたい時なんて、周りを気にしてらんないもん。」

 「だからって、ともゆきにゲロぶっ掛けるコトないでしょ?」

 が出してくれた『ゲロ』のキーワードにが異様に食いついて、二人で『ゲロゲロ』言い合いました。おかげで僕に出された助け舟は、見る見る内に『ゲロ』にまみれて、たまらず僕は『ゲロ』を釣られてしまいました。

 洗面台にアゴを引っ掛けて我慢しましたが、閉まらない口の端っこから『ジュブブッ』と、胃液が漏れ出してしまいました。嘔吐の苦しさと頬っぺたの痛みに、僕が『う~ん、う~ん』と唸っていると、

 「汚いわねぇ…、…お母さんまでもらいそうだわ。アンタたちっ、取りあえず、身体洗いなさいっ! 話しはそれからっ! むぐっ…、」

と、も『ゲロの魔力』に襲われ耐えられなくなったのか、口を押さえて廊下に引っ込んで行きました。

 鏡に映ったの後ろ姿を見てから反対側を見ると、お風呂場に消えるのおが映っていました。そして僕は恐る恐る、パンパンに腫れているであろう、頬っぺたのダメージを確認しました。

 僕は『ムーミン』みたいにボッコリ腫れちゃってるんじゃないかと覚悟しましたが、鏡に映ったのは、ちょっと口元が膨らんだだけで頬っぺたの赤い、どうってコトの無い『調子に乗ってたバカ』の顔でした。

 『何だよ…』

 一旦、修羅場から解放された事と拍子抜けした事で、僕の緊張の糸はプッツンと切れました。洗面台に掴まって立ち上がると、立ちくらみがして『ズズ~ン』と目の前が暗くなりました。

 「うふふっ、危なかったね?」

 後からお風呂場に入ってきた僕の身体に、ボディソープを手で直に塗り付けながら、が耳元で囁きました。

 さっき倒れ込んでいたのが嘘みたいに、いつものバカな顔をしてました。ヘラヘラしながら、まるで他人事みたいに修羅場のスリルを面白がってました。

 「気分、治ったの?」

 「ん? うん! 吐いちゃったらスッキリした。やっぱ、エビ天の衣が余計だったわね~。」

 「ホントに『鍋焼き』のせいなの? 妊娠のせいじゃないの?」

 「え~? 『ツワリ』ってコトぉ? 違うんじゃな~い。」

 「…どうすんの? これから…」

 「そんなコト、ど~でもいいから、早く身体洗って!」

 がオッパイがプルプル揺らし始めました。僕は不安で不安でしょうがなくて心臓がバクバクだったのに、バカは何にも気にせず、シャンプーの泡をボッタンボッタン飛ばしてきました。

 単なるバカだからか、それとも心臓がとてつもなく強いのか、マイペースを崩さずにシャワーを浴びるに、『スゲ~な、コイツ…』と僕はちょっと感心しました。

 「バカでしょ、アンタ?」

 「へっ?」

 ちょっと感心してたところだったのに、出し抜けにバカからバカにされました。僕は意味が解らずムッとしました。

 「安心しちゃって、もう、チンポ立ててる。」

 「えっ? あっ!!」

 のオッパイを見ながら、ボディソープで身体をまさぐっていた僕は、無意識に完全勃起していました。ホントにバカです。

 「『「リッちゃん」にバレた!?』って、ビビってたくせに…」

 バカに見透かされて、僕は返す言葉がありませんでした。情けない気持ちで一杯になって突っ立ってる僕のチンポを、シャンプーまみれの手でが握ってくれました。

 「あっ、ああっ!」

 「バカね~、喘ぎ声まで出して~。」

 「あっ、ゴメン…。うっ!」

 「早くイカないと、ホントにバレるからね。」

 「うん…。うっ! くひっ!」

 ぱっと見でバレないようにさりげない感じで、ドアノブを掴むようには僕のチンポを扱きました。クチュクチュ音を立ててる手の動きに神経を集中させてましたが、なかなかイケませんでした。

 「贅沢になったわね~? このチンポも…」

 「ご、ゴメン。もう、いいよ…。」

 「こんなのブラブラさせてたら、これこそ『動かぬ証拠』じゃな~い。」

 「お母さん見られたんだから、もう、無理だよ…。」

 僕は完全に怖じけづいていて、射精感がやって来ませんでした。僕の顔をチラッと見ると、は僕の方に背を向けて、握ったチンポをおの割れ目にこすり付け始めました。

 「あっ、うっ、うっ、」

 おの谷間でチンポの先が押し潰されたり、ひしゃげてこすり付けられたりしました。充血してパンパンに膨らんだ亀頭を見ていたら、がおの穴にチンポを押し付けました。

 「ねぇ…、こっちに入れてみる?」

 イソギンチャクのシワシワにナマコが押し入りそうになった途端、いきなりキンタマから精子が駆け出して来ました。

 「……………あっ!」

 僕は思わずのおを両手で掴んで、おの溝にハマったままのチンポを押し出しました。チンポはおには入らずに、『ズリッ』と谷間をずり上がると、勢い良くおのエクボに『ぴ、ぴゅっ!』と精液を飛ばしました。

 「はあ…、うっ、うっ!」

 「は~い、出た、出た。ともゆきも単純だね~?」

 僕はの『営業テク』で、あっさりと放出させられました。は事務的にチンポを『ささっ』と洗うと、シャワーで僕の身体を『ちゃちゃっ』と流しました。

 「はいっ、オッケー! お母さんのトコに行ってな。変な事言うんじゃないわよっ!」

 バチンと僕の肩を叩くと、シャワーでワシャワシャ髪の毛を洗い、その水でうがいを始めました。『ガボガボ』っと口を濯いだ後、そのまま直で水を『ンゴンゴ』っと飲むと、『ふう~っ』と大きく息をひとつ吐きました。